霊能者ヴォイス

第二話は、<生霊>に苦しめられたWさん(女性)のケースをお話していきます。

<生霊>は手強い相手であるという事は前にも言いましたね・・何せ、<生身>の体をこの世界に持っている人間から発せられるものですし、絶え間なく送る事が出来る<念>と言っても過言ではないのですから・・。
この人間の社会では残念な事に毎日の様に事件が起きています。新聞からニュースから伝わって来る悲しい、残酷な事件・・。ストーカーや嫌がらせ、殺人事件まで。これらは全て形ある人間のすることであり、その罪は重いものです。同じ様に<生霊>もまた、生きている人間のする事ですから、その危険度はかなりのものと言えます。

さて、Wさんですが、1年程、体の不調と、睡眠不足等に悩んでいましたが病院での検査でこれと言った原因も見つからずストレスと言われ、しかし日々少しづつ辛さは増し、仕事にも影響が出始める・・と言う中、何かおかしい・・と思い、私の所を尋ねていらっしゃいました。
お逢いして見ると、明るい方でとても体調を崩している様には見えません。しかし後ろにグレーの影の様なものが付いて来ていましたので何かあると分かっていました。
霊視をしていくとその影は女性である事、そして生霊である事が判明してきました。名前は出て来ませんでしたので(生霊は名前を言うほど礼儀はない・笑)その容姿等を伝えていきました。暫くは考えていたWさんですが心当たりがどうしてもないと言うのです。 確かに人から恨みをかう様なタイプの人間ではないと言う事は霊視をしていても感じましたが、現に生霊が憑いているのです。しかも1年半位前からです。解決策を考えなければなりません。
生霊もそうですが、霊障や、霊的な事の解決、対処法はケースバイケースで、それこそスタンダードなやり方が使えるとは限らないものですから。よく<塩をまく><お経を唱える>とか言いますが効かない事も多いですし、神社とかで御祓いしても効かない事もありますよね。地鎮祭とか皆、行っていますしね・・。

今回も策を考えなければならないケースでした。まず、ご依頼者本人に心当たりがないと言う事。と言う事は、相手と敵対関係と言う意識がない、つまり波長はそれほど合っていないはずです。生霊系でご相談に来る方は大抵の場合、心当たりがあるものです。逆恨みであろうが誤解であろうが相手に良く思われていない事、そして自分も良くは思っていない事。それが結果、生霊と波長を合わせてしまう事になる訳です。下手をするとお互い飛ばし合い!!なんて場合もありますからね。
しかし、Wさんは少なくても<気>は抜けていない、相手に飛ばしている事はない・・受ける方に波長を合わせる気がないにも関わらず、憑いているという事はかなりの力が生霊にあると言う事。
安易な手段は取れません。

<2週間>と言う言葉が出てきました(これは言葉と言うか・・表現が難しいのですが)。

「2週間待って下さい。その間に具体的に分かる様にこちらで見えない所で働きかけますので・・。何かあれば連絡して下さい。」Wさんにやってもらう事を伝え、私の直通電話を伝え、2週間後の予約を取り、帰って頂きました。

Wさんの様に生霊でのケースで慎重になるのは、場合によっては相手が何かしてくる、つまり見える形で仕掛けてくるケースもあるからです。生身の方に行動をされては大変な事になってしまいますから。大きく言えば、生霊は相手の不幸を願っています。それが霊視という形で見破られ阻止されるとなると・・。慎重にならざるをえません。
当のWさんですが、1年に亘る体調不良等で、心当たりがないとは言え、何か感じる物もあったらしく、私を信頼してくれ、まずは2週間、待ってみる事になりました。
その日の内に、まずは、<守護>と言うか<護り>をWさんの方には付け(見えない部分ですよ、勿論)私は、2日間Wさんとチャンネルを合わせて(これも見えないところ)動きを見ました。分かり辛いとおもいますが、深い霊視の形の一つです。

3日目にはもうWさんから連絡が入り、すぐにでも会いたいと言うのですが、こちらもまだ終わっていない仕事もありましたし予約も入っていました。とにかく待ってもらうしかありません。2週間と出ていますし。
その間夜になると、私の自宅の上をカラスが飛び交い、深夜には「カーッカーァ」と叫んでいました。それまで、昼間ゴミ置き場で見かけたりはありましたが・・何処からともなく夜になると現れ、深夜に凄い声で「カーッ」と叫ぶのですよ。窓を開けても暗いので黒いカラスは良く見えません。しかし、真上でカーと聞こえる・・。まるで魔女の館??
ともあれ、無事、2週間経ち、いよいよ改めて、Wさんが来ました。以前にも増して真剣な顔つきでした。こちらも、この間である程度、はっきり視えてきていましたので。「2週間、どうでしたか?」と聞くと「本当に色々あって・・」と話し始めました。

彼女は犬(マルチーズ)を飼っているのですが、この2週間、深夜2時頃になると突然飛び起き、ベランダや玄関に向かって、凄い勢いで吠えるのだと、誰かいるのかなと思って見ても誰もいない(いないですよね・・そんな時間、毎晩)時々、元気なのに吐いたり、また、誰かに蹴っ飛ばされた様に「ギャインー」とそれは聞いたことがない様な声で、突然鳴いたそうです。さすがに病院にも連れて行ったと・・。
そして、何と昼間から夕方、今まで全く来なかったカラスがベランダに(マンション10階)来る様になり、危険なので犬は出さなくしたそうです。その他、夢に亡くなったお母様が出てきたり、電話が故障したり・・。ここまで来れば、自分が気付かなかっただけで、凄いものが憑いていたのは分かり易い・・と。
この期間で、彼女は自分がいかに危険なものに狙われていたかはっきり感じていました。体調も睡眠もおかしくなってくるはずです。その上で霊視の結果を伝えていきました。ここからの話は個人的な問題ですが、(勿論、了承を得ています。)

当時、彼女には15年以上のお付き合いの男性がいました。お互い仕事の関係もあり、<結婚>や<同棲>という形ではなくそれこそ良き人生のパートナーとして2人の間は上手くいっていました。実はこの彼に新しく女の人が出来ていたのです。生霊はその彼女だったのです。
しかも、彼とは付き合ったもののすぐ上手くいかなくなってしまい、別れる事になったのですが、その原因がWさんだと逆恨みしての事でした。
むろん、当のWさんは知るはずもありません。最初に、容姿を伝えても分かるはずがないのです。今は情報社会ですから、興信所等でも使ったのでしょう・・
その彼女は、事もあろうにWさんの住所・会社等調べて、家も見に来ていた事も霊視で分かりました。生霊となった彼女はWさんの体調を崩し、また護りが付いて手出し出来なくなると、愛犬を蹴飛ばし苦しめ、生身の方は家を偵察したり、様子を覗ったりと。この彼女は彼とは仕事関係もあり、別れたとは言っても現実には彼と仕事で会っていましたから、正確には男女関係を持たなくなった、つまり彼が2人きりの時間を避けたという形でした。
お分かりのように、ここで問題があるのはむしろ彼の方で、Wさんは本来関係ないはずです。しかし、私が霊視したケースでもこの〈逆恨み〉というのは案外多いものなのです。まだ救われるのは、逆恨みの場合はWさんもそうでしたが、守護・護る力が働くので多少なりとも被害が小さい事です。

さて、Wさんですが知らなかったとは言っても長い付き合いですから丁度、1年半位前、彼の態度がおかしいと感じた時期があり、私の鑑定に納得されていました。
その日から生霊を祓う為私は色々、行っていきました。その具体的な事は今回は説明しませんが・・。同時に生きている彼女に対しWさんが毅然とした態度を取るチャンスも必要でした。Wさんは夜遅い時間は電話を留守電にして音を消して過ごしていたのですが、すぐそれを止めてもらいました。するとこれまで知らなかっただけで、再三、無言電話が掛かってきていたのです。笑ってしまいますが、その彼女はそんな事とは知らず、一生懸命電話していたんですね・・。
Wさんはその電話に対し「迷惑ですから止めてください!警察に行きますよ」とはっきり言い、その後当時、出たばかりのナンバー通知機能に切り替え、対応しました。
その結果を彼に伝え、彼女の番号である事がはっきりしたのです。Wさんがそんな目に合わされている事を知った以上、彼も認めない訳にはいきませんからね。もっとも彼女の性格は彼のほうこそ分かっていましたし。彼も彼女ときちんと話し合いをしたようです。

生霊の場合はこの様に見える所見えない所と同時進行で祓っていくケースもありますが、見えない所、つまり霊的な所でしか方法がない場合があります。それは、やはり何をするか分からない性格、性質の方が相手の場合です。霊視をしていてもそれこそ生命の危険信号がちかちか鳴ってしまう様な場合。
Wさんのケースは幸い、そこまでは行っていませんでしたが。すべて終わらせるのに、約2ヶ月掛かってしまうご依頼でしたが、その後体調も嘘の様に良くなり元気に過ごせるようになりました。
15年来の彼とのお付き合いがどうなったかは・・ここで書く事ではありません。私はよく言うのですが、本来、生霊なんて飛ばそうと思って出来るものではありません。どんなに憎んでも生霊になって相手を苦しめるなんて、しようと思っても・・。生霊に憑かれた方も大変ですが、なった方もそれ以上のダメージがあります。 人を呪わば・・・と言う様に。

少なくとも、私がこれまで関わったケースでは、やはり生霊になる方にはそれ以前に人として人格や性格に問題や歪みがあります。心に明るい気がある方は生霊には中々なれるのもではありません。生き方やものの考え方に問題がある方ばかりです。生きていれば色々ありますよね。でも、恨みや憎しみに押しつぶされてしまっては・・悲しい人生です。そうは言っても今日も生霊は視えない世界を飛び交っているのです。
Wさんの様に逆恨みで、心当たりがなくても・・。何かが変だな・・と感じた時はやはり何かがあるのだと・・。Wさんも愛犬もその後平和に過ごしています。今回は生霊に悩まされたお話をしてみました。

勿論人に恨まれる様な行動や言動は慎まなければなりません。怨まれて当然の様な事情や方も残念ですがいらっしゃいます。その場合は今回とは違ってきますが、当然の理由があっても生霊になった側にもリスクが出てしまうのです。恨みをかう生き方も良い訳ありませんが恨みをかうのと生霊とは少し違う事ですから。

例外としてあえて付け加えると、生霊でも極稀に良い場合があります。
例えば、祖父母や親が子供の危機を守ろうとしていたり・・。恋人間でも・・。
でもそれらの殆どは瞬間的な事が多く、確かに生霊ですが違うとらえ方分類になるでしょうね。